茹だる様な夏の夜は床の皆が寝るに寝られぬ寝苦しさ、
涼を求めてあちらにゴロリ、こちらにゴロリ、
布団からはみ出し、畳の上でも未だ足りず、
台所の板の間に直に横になる御仁も在りとやら、
うさ犬お兄ちゃんはほんまるも堪らぬ暑さか、
将又スモモお姉ちゃんの寝相に耐え切れぬ故か、
表に飛び出し屋内よりは少々増しな屋外を暫し揺曳すれば、
ご自慢の耳で感じているのかいないのか、気温の低きに水の低きに流れるが如く流されて
誘われた先の井桁の辺の涼しさは、沸きいずる井戸水のお蔭か、出会った方の人徳か、
兎も角も井戸端で交わす挨拶も涼しげな真夏の夜の夢の共演たり。(2006/8/13)