新年度を新たに迎える頃には希望に満ちていたって 早一月も経てばそこはそれ、中々思う通りには事が運ばないってことで 今年入学の新入生達だって、今年新卒の新社会人だって、 中には移動の時期に一人新環境に身を置いたおじさんだって、 皆人の子同じことですよね、少しくらいは落ち込むことだってあると云う物、 なればこそ「五月病」という立派なお名前まで頂戴していると云う訳ですが、 さてもそんな時期、 あちらからちょっとやれてはいるけれどリクルートスーツ其の儘の新卒のお兄さん、 こちらからは背に負おう青いランドセルも初々しい新一年生、 どうもどちらも少し項垂れ気味なのはやはり五月特有の病に罹りしか、 お兄さんはちょいと不眠気味で目も腫れぼっく見え、 一年生は歳に似付かわしくない溜め息まで漏らしているご様子、 そんな両人が今日も今日とて気の進まぬ新天地に向かう道すがら、 不図目にした光景が何を隠そううさ犬弟のはなまるの 手にした御握りを襲わんと欲す蝿との格闘でありました。
異種格闘技戦を端無くも砂被りで観戦し、 これが本当の五月蝿いとは、筋交うご両人思ったかどうか、 兎にも角にも通り過ぎた彼等の顎は上がり胸は張られて、 斯くて目出度し目出度し… と喜んでいられない、知らぬは奮闘はなまる許り也。 (2006/5/4)