





往来の激しい道路も渡り処が左右に遠く、 ええぃ儘よと隙を盗んで飛び出して、 半ば迄無事進出なったものの中央分離帯の上に進むもならず、退くもならずとて 急いだはずが心ならずも軟禁状態に陥れられることとは、 誰しも経験のあることではないでしょうか。
さて本編主役のほんまるがこの如き状態に陥れば、 自慢のうさ耳で以って空中に活路を見出せば良い処、 思わず己の幽閉さる前から此処に居然たる先客の晏然たり、 猶もその美しさで自らを煤だらけに追いやる道行く運転手に慰めを與えるに気付き、 さても浅はかな自らを恥じると共に、 先客躑躅の花に斯くも功徳を積めりと衷心より尊敬の念を抱くのでした。
実は躑躅は静岡県の県花にて、彼の県下に多くを過ごせば 意識するとも無く似た感慨を抱かれる方も数多や否や、 孰れ弟のはなまるも兄貴と同じ感を胸にするは さても兄弟の致す所と云う許りではないようで。(2006/5/4)