今日はうさ犬兄弟はうさ犬の里の裏山の竹の柱に茅の屋根、
風が一吹きすれば吹き飛んでしまいそうな庵にお邪魔しているようです。
庵は墨衣のご老人の一人住まい、
誰が訪れたとて別段持て成すわけでもないけれど、
不思議に落着く其の空間にはうさ犬兄弟は屡訪ねている様子、
勝手知ったると云っても四本の細い柱に囲まれた方丈の一間は、
入り口の敷居を跨ぎ只座り込めば、自ずと主と正対する構造にて、
秋も大分深まった今日も何を語るでもなく鼎座せば、
山はすでに紅に黄色に彩られたその一枚が、
竹の窓からひらひらと裏に表に散り入りて、
静かな空間を独擅するかに舞を舞えばみたりは聴衆となり、
紅葉の舞台を堪能せるも、
恬淡としたご老人に何だか妙に哀しくなってしまううさ犬兄弟なのでした。(2006/10/31)