松尾芭蕉翁の句に「この道や行く人なしに秋の暮れ」があると聴いた数寄者のご隠居が、
うさ犬の里を包み込む秋に、頭巾を頭にちょいと戴き、着物に身を包み筒の袴を履いて、
頃日感ず冷冷たる寒気には和風のコートを羽織り、短冊に携帯筆を懐にして、
先ずは格好許りは立派に整えて出掛けるは、詠の先に決まった句の主客転倒の風景の探索行にて、
折しも紅葉の上から夕焼けが染める山々に囲まれた田園風景の長く続く畦道こそかくあれと、
懐手に取り出だしましたる詠吟セットの、短冊に覚えたる俳聖の句を認めんとする其の時、
行列を成して行進し来たるのはうさ犬ファミリー、
うさ犬兄弟を先頭に、蛙にウパンダに、柴犬コトラに殿は団栗を抱えた栗鼠君たれば、
数寄物のご老人の確かに人ではなければこそ、渋々乍我慢しけれ。(2006/11/1)