澄み切った秋の空を空中散歩宜しく上手から登場、うさ犬お兄ちゃんはほんまるに、
下手から登場、烏君の、食欲の秋とて下界に秋刀魚焼く匂いにか、
夏も暑さ、残暑も一段落の清々しい森の匂いにか、
それとも気になるあの娘の嗅ぐも清楚なシャボンの香りにか、
気を奪われて前方注意は漫ろ、互いに互いがふらふらと、
まだ広ければ宜しからむ、丁度此処らは脇から迫る山の隘路とて、
両の行く道のまるで敷設の線路が如く一本道に相成れば、
ニアミス軈て正面衝突は必定なりて、互いに互いが絡まり合って落ちた所は、
さては両者の気を誘いし香りの正体か、うさ犬の里の裏山は谷間に人知れず秋を彩る菊の園、
互いが互いに身を任せ身に絡まるも構わずに、取りも直さず立ち上がれば、
さてもお花畑に力を合わせ、秋の名物菊人形を演ずことと相成るも、
見物人の無いことだけが遺憾の感にて御座候。(2006/8/22)